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2013年11月14日 (木)

視点論点 「会えないパパ 会えないママ」田中早苗弁護士


平成19年の人口動態統計によると、離婚件数は1年間に約25万5000件、そのうち未成年者がいる割合は57%約24万5000人以上の子が親の離婚に巻き込まれています。両親の離婚に直面した子ども、特に幼い子供は「なぜパパとママは別れて住まわなければならないの?な何故ママは働きに行くようになったの?なぜママは遅くまで働くようになったの?なぜパパは会いに来てくれないの?」など、さまざまな葛藤を抱えています。

両親から子どもに離婚の理由を説明することはあまりなく、子どもにとっては離婚が「両親が離婚したのは、自分が親の言うことを聞かなかったからだ」などと、自分のせいにしがちです。したがって、子どもにはたとえ離婚したとしても、両親は子どもを愛していることにはかわりなく、いつでも連絡が取れ、会いたい時には会え、離婚は決して子どもの責任ではないことを伝えることが重要です。

しかし、日本では現実には一緒に生活していない親とは疎遠になりがちです。その原因の一つに、「単独親権制度」が挙げられます。日本では未成年の子どもがいる夫婦が離婚する場合、父又は母のどちらかを親権者に決めなければならないのです。通常は、親権者となる親が、子どもと一緒に暮らし、生活の面倒を見ることになります。他方、親権者にならなかった親は、養育費を支払ったり、子どもと面会をすることになります。しかし日本では、離婚のうち90%が協議離婚で養育費の支払いや面接交渉についての取り決めをしないことも多く、同居しない親は、子どもと疎遠になりがちです。

また、仮に裁判所の手続きで離婚し、取り決めをしても、養育費を支払わず、面会しないことも少なくありません。親権はなくても、親として子どもに対する責任はありますが、子どもと面会しないことによって、親としての責任感も薄れがちになります。反対に、離婚後も、同居していない親が、子どもとの面会を強く望んだとしても、日本では同居している親の協力と理解が得られない限り、子供との面会が実現できません。そのため、どちらが親権を獲得するのか、熾烈な争いが繰り広げられます。また、一旦親権が決まっても、両者の関係に修復できがたい亀裂が生じ、子どもに悪影響を与えかねません。また、親権の問題は離婚や慰謝料、財産分与の協議と一緒になされるので、親権を譲る代わりに慰謝料を請求するな、など、子どもの問題を金銭交渉の材料とする当事者もいます。

こういった問題の解決策のひとつが、多くの先進国でも採用されている「共同親権、共同監護制度」の採用です。共同親権制度であれば、子どもは離婚後もほぼ双方と関係を持ちやすく、親も子供に対する責任を自覚し、親双方で責任を共同し、分担できます。また、財産分与などの離婚の問題と切り離し、時間をかけて協議をすることもできます。共同親権、共同監護とは言っても、一週間のうち半分ずつ互いの家を行き来するなどの形態はすくなく、実際は子どもの主たる住居は父母のどちらかにおかれ、他方は週末や休日、長期休暇に子どもと過ごすことが多いと言われています。また、必ず共同監護とするのではなく、家庭内暴力が認められた事案などは単独監護としたり、暴力を振るっていた親に子どもとの面接交渉を認めないこともあります。ただ、親の面接が子に対して何らかの問題を持つとしても、子どもや関係者の安全を図るため、第三者の監視付きの訪問、公共の場や第三者の住居での訪問などの条件をしたり、電話や手紙による接触しか認めないなどで対応しています。

日本でも共同親権制度を取らずとも、家庭裁判所で社団法人家庭問題情報センターなどの面接援助組織を活用し、立会人つきの面接をもっと積極的に認めたり、きめ細かい訪問方法をとることは可能だと思われますが、残念なことに葛藤の激しい両親のケースでは、オールorナッシングになりがちです。カウンセリング、教育啓蒙援助組織が増えれば、日本でももっと丁寧な対応可能となるはずです。
また、そもそも離婚が子どもに与える影響や離婚後の面接交渉が子どもにとって心理的、精神的にどのような影響を与えることができるのかなど、多くの両親が学習する機会がないまま離婚しています。

アメリカでは全米的に「父母教育プログラム」が義務化し、父母教育プログラムを受けないと裁判所の審理や調停が進まないことになっています。日本でも父母が離婚後の交流について学習する必要があるとして、最高裁が当事者助言用DVD、ビデオを制作していますが、充分活用されていません。未成年者の子どもを持つ夫婦が離婚を迎える場合、学習する機会を持てば、養育費や今後の面接について取り決めをするケースが増えるでしょうし、冷静に子どもの問題を話し合う素地を作ることになるでしょう。せっかく最高裁が父母教育ビデオを製作したのですから、各地の家庭裁判所の待合室や市役所の離婚届窓口で見ることができる仕組みを作ることは今でも少ない予算でできるはずです。

子どもの権利条約には、「締約国は、児童の最善の利益に反する場合を除くほか、父母の一方又は双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触を維持する権利を尊重する」と規定されています。しかし、今までお話ししたように、残念ながら日本の現状は不十分と言えるのです。そこで、今まさに離婚を考えている方がいれば、こうした両親を持つ子どもに与える絵本を参考にしてみては如何でしょう。これらの絵本は、子供向けですが、両親も読むことにより、離婚が子どもに与える影響が理解できます。最後にそのうちの一つを抜粋して紹介します。(「おうちがふたつ」を朗読)

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